にらめっこ・おびしゃ
名 称 駒形大神社の御奉謝、俗名:にらめっこおびしゃ (市川市指定無形民俗文化財:昭和40年指定)
神社名称 駒形大神社 千葉県市川市大野4−2758 電話:047-338-7230
御祭神 主神:経津主神、合祀:平将門
御奉謝
 御奉謝は、安政6年(1859)の記録に載っている約150年続く、五穀豊穣と村内(60数戸、8組)安全を祈願する行事である。当初は、1月19〜20日の2ヵ日間行われていたが、終戦後は20日に行われる。

 朝8時過ぎに駒形大神社の社務所に集まった村民は、行事の準備を始める。
 ある人たちは、大根や牛蒡で鶴亀や松竹梅などの蓬莱飾り(供物)を作る。“ 大根が足りない ”などと声がかかると、畑へ抜きに行き、泥付きの新鮮な大根が届けられる。
 別の人たちは、注連縄を作り、神社に張ったり、境内の広場に餅つきのために4本の竹を立て、注連縄を張って結界を作る。
 他の人たちは、餅用のしん粉を捏ね、蒸して餅搗きの準備をする。
 あらかたの準備が終わる頃、餅搗きが始まる。餅搗きの4人の杵方は、白束に赤い襷掛け、豆絞りの鉢巻きで一臼を10〜15分で三臼搗く。一臼目は煎餅といい、供物の下に敷く経5寸(約15cm)の薄い円形を作る。二臼目は、鳥帽子型・擬宝珠型・皿頭型の3つの兜の供物を作る。三臼目は、餅ぶっつけに使う。餅ぶっつけは、みんなが餅を小さくちぎって投げ合う。餅が当たると、今年の厄を払い、風の防止に効果があるという。これで午前の部は終わる。

 午後13.30から本番の行事が社務所で始まる。まず、“ 御奉謝神礼・日記受渡しの儀式 ”が行われる。これは、神社境内に祀られている10社の末社などをお守りする当番組の引き継ぎの儀式で、床の間に掛けた「下総国 大野鎮守 駒形大明神」と書いた掛け軸の前には、鶴亀や松竹梅の蓬莱飾りや、三方に載せた兜型の供物が飾られ、この前で行事が行われる。床の間を背にした裃姿の行司役の前に、昨年の年番担当組と今年の年番担当者が座り「平成十六年一月二十日 奉謝 天満宮来当日記 東部三組」「平成十六年一月二十日 奉謝御稜道大神来当日記 東部四組」などと書いた紙包みを戴き、御神酒を飲んだ後、昨年当番の人が今年当番の人の背中へ紙包みを入れる。しかと当番を引き継いだとの儀式である。昔から、“ お守り ”は、なかなか十分でなかったことからこのような儀式が始まったと思われる。

 次にいよいよ見物人のお目当ての“ 御奉謝・にらみっこおびしゃ(睨目比) ”が始まる。裃姿の行司役の前に、2組の2人が向かい合う。行事が口上を述べ、2人の大杯に酒が注がれるが、杯が大きすぎるとの断りが出て、行事は袂から小さな杯を取り出し、酒を注ぎにらめっこが始まる。杯を手に持ちにらめっこする。どちらかが笑いだすまで睨み合い、どちらかが笑うと、こんどは両者とも大杯に酒が注がれ、飲み干さなければならない。8組が2手に分かれて行われるが勝敗はない。

 にらめっこおびしゃは、“ おびしゃ ”といわれるが、弓矢を射るなどの行事はない。70才前後と思われる保存会の会長の知る限りでは弓矢を用いたことはなく、また、使ったということを聞いたこともないという。“ おびしゃ ”に“ 御奉謝 ”の字が当てられており、“ 奉謝 ”の意味は、“ お礼を申し上げること ”とあり、近隣にあわせておびしゃの名前は付いているが、昔から弓矢を使う行事はなかったと思われる。
●御奉謝式次第
予定時間 式 順
8.10〜 呼太鼓
8.30〜 氏子一同集合
9.00〜 式場始(しばきり、儀式を行う場所の宣言)、御神酒、役割分担
9.30〜 注連縄・供物(松竹梅、鶴亀)の製作と飾り
10.30〜 参加者全員で町内安全・五穀豊穣の祈願(拝殿)、乾杯
11.00〜 餅搗き
12.00〜 昼食
13.30〜 ・御奉謝神礼・日記受渡しの儀式
・末社の日記受渡しの儀式
14.10頃〜 睨目比(にらめっこ)の儀式
15.00〜 直会宴会
19.00〜21.00 初瀬、歌、お踊り
場 所
アクセス
・駒形大神社 千葉県市川市大野4−2758
・電車:JR市川大野(武蔵野線) or 本八幡(総武線)から動植物園(土・日曜日のみ)行バス、霊園行バス駒形大神社下車徒歩約7分、またはJR市川大野駅から徒歩約20分
・車:神社の周りに駐車スペースあり
浦賀の地図
祭開催日 1月20日(土・日曜日無関係) 9.00頃〜15.00頃
参考資料 市川市教育委員会(027−334−1111)資料など
2005年の
状 況
当日は、冬特有の寒い晴天であった。
今では残り少なくなった非常に珍しい行事で、年々見物人が増えているという。
今は、経済的に酒は充分飲めるようになっているが、昔は、新年の当番の引き継ぎにあたり、村民の親交を深めるために、充分に酒を飲みあったものと思われる。
社務所の縁側で、大根や牛蒡などで鶴亀や松竹梅の蓬莱飾りを作る。亀には、亀甲模様を墨で丹念に描く。
神社の社務所の床の間の「下総国 大野鎮守 駒形大明神」と書いた掛け軸の前には、鶴亀や松竹梅の蓬莱飾りや、しん粉餅で作った鳥帽子型・擬宝珠型・皿頭型の供物が三方に載せて飾られる。
この前で行事が行われる。
裃姿の行事役の采配により“ 御奉謝神礼・日記受渡しの儀式 ”が行われる。
昨年の年番担当組と今年の年番担当者が御神酒を戴いた後、神札・日記の紙包みを昨年の当番の人が今年当番の人の背中へ入れる。
引き継ぐ日記を背中へ入れる
行事役の前で“ にらめっこ ”の行事が行われる。開始にあたっては、行司役が下記の口上を述べる。
「只今より古式に則り、にらみ合いの行事を取り行います。
盃に酒をなみなみと注ぎ、相方にらみ合い同時に持ち同時に飲み干し同時に置くこと。
この時笑ったり、あるいは無礼な態度をとった時には大杯にてなみなみと注ぎ罰杯として申しつけます。
(客より) あまりにも大杯ですので小杯にてお願いします。
(それを受けて)
それでは待ち合わせがありますので」
口取りは沢庵(卓上の黄色いもの)。

左は、保存会会長。
にらみっこおびしゃ
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