屋根のからくり人形 二
大津祭
 大津祭に出る13台の曳山ではすべてからくりを持つ。空中ブランコや杭渡りをする人形などの派手なパーフォーマンスはないが、大型の人形が内外の故事などにもとずく場面で酒を飲む所作をすると顔色が変わったり、字を書くなどの比較的ゆったりとしたからくりが多い。からくりの内容を「所望」という。
西行桜:大津祭 猩々:大津祭 桃童子:大津祭
からくり名 西行桜 猩 々 桃童子
祭名・屋台名 大津祭:西行桜狸山
(鍛冶屋町)
大津祭:猩々山 (南保町) 大津祭:西王母山(注1) (丸屋町)
作 者
明和年間(1764〜1772)
左 六丞作
寛政元年(1789)
林 孫之進祐貞作
明和年間(1764〜1772) 左 六丞作 明和年間(1764〜1772) 左 六丞作
備 考 明暦2年(1656)にそれまでの狸の腹鼓から変更。京都西山の西行庵の桜見物に毎年都から花見客が来るのを西行が禁止しようとした謡曲「西行桜」に因んだからくり人形。
所望は、曳山の前に突き出された古木(寛政元年・1789の銘あり)から桜の精が現れ、西行法師と問答し、枝の先端へ進み舞う。
中国の孝行息子が市で酒を売れば富貴になるとの夢のお告げにより、豊かになる。客としていくら呑んでも顔色が変わらない海中に住むという猩々が現れる。別の日に潯陽で猩々に酒を振る舞うと汲めど尽きぬ酒壺を貰うとの謡曲「猩々」に因む。
所望は、孝行息子・高風が猩々に酒を注ぎ、盃で顔が隠れるように飲み干すと、猩々の白い顔色が真っ赤に変わる。
崑崙山にすむ西王母の長寿伝説に桃太郎の説話を加味したもの。
所望は桃の実が二つに割れて、その中から桃童子が生まれる不老長寿と平和を祈るストーリ。2003年に桃童子を新調。
玄翁和尚:大津祭
からくり名 恵比寿の鯛釣り 玄翁和尚 湯立神事
祭名・屋台名 大津祭:西宮蛭子山
(白玉町)
大津祭:殺生石山 (柳町) 大津祭:湯立山 (玉屋町)
作 者
明和年間(1764〜1772)
左 六丞作
安永5年(1776)
4代目・林 孫之進作
明和年間(1764〜1772) 左 六丞作 明和年間(1764〜1772) 左 六丞作
備考 所望は、恵比寿神が鯛を釣る。 能楽の殺生石の鳥羽院に寵愛された玉藻前は、実は金毛丸尾の狐で帝の生命を奪おうとしていたのを安部泰親に見破られ、東国に逃れ、那須の殺生石となって旅人を悩ましていたが、玄翁和尚の法力によって成仏したというストーリーから考案した。
所望は、玄翁和尚の法力によって石が二つに割れ、玉藻前の女官姿の顔が狐に変わる。
禰宜・市殿・巫女の人形の禰宜がお祓いをし、市殿が笹で湯を奉り、巫女が神楽を奏する湯立神事を現す。これから「おちゃんぽ山」の愛称がある。昔からこの湯をかけられると五穀豊穣、病気平穏、商売繁盛など縁起が良いという。
所望は、釜の前で巫女が持った笹葉の束を上下して釜の湯を立てる。周りに御幣を持つ禰宜が立ち、鉦を持つ飛屋が鉦を打ちながら所作をする。
郭巨:大津祭 諸葛孔明:大津祭 江定基入道寂昭:大津祭
からくり名 郭巨の故事 諸葛孔明 江定基入道寂昭
祭名・屋台名 大津祭:郭巨山
(後在家町・下小唐崎町)
大津祭:孔明祈水山
(こうめいきすいざん、中堀町)
大津祭:石橋山 (湊町)
作 者 享保3年(1718) 林 孫之進作 昭和57年(1982) 斉藤 徹(復元)
備考 二十四孝の一人郭巨の故事に因むストーリーで、郭巨が鍬で穴を掘り、黄金の釜を出すところ。郭巨は、家が貧しく老母を養うのがやっとであった。子供が生まれたが、老母は自分の食を減らして孫に与えねばならなかった。郭巨は、子供はまた得られるが、母は再び得ることはできないとして妻と相談し、子供を土中に埋めるために穴を掘ったら、黄金の釜が出てきたという故事による。
所望は、郭巨が鍬を持ち、妻が抱いた子をあやす。郭巨が地面を掘ると地面が割れ、中から黄金が出る。
諸葛孔明が、魏の曽操と戦ったとき、流れる水を見て「敵の大軍を押し流してください」と水神に祈り、大勝をした故事による。
所望は、孔明が扇を開いて水を招くと、水が沸き上がり、流れ落ちる場面。
謡曲の石橋にもとづいたもので、謡曲の大江定基入道寂昭が宋の国に渡り、天呂山に入って、文殊菩薩の浄土と伝えられている険しい石の橋を渡ろうとしたとき、獅子が現れて、牡丹の花に舞い戯れるのを見るストーリーに因むからくり。
所望は、天呂山の岩石の中から唐獅子が出てきて牡丹の花に戯れ遊び、また岩の中にかくれる。
登竜門:大津祭 神功皇后・武内宿禰:大津祭 月宮殿:大津祭
からくり名 登竜門 神功皇后・武内宿禰 月宮殿
祭名・屋台名 大津祭:龍門滝山
(太間町)
大津祭:神功皇后山 (猟師町) 大津祭:月宮殿山 (上京町)
作 者
享保3年(1718)
林 孫之進作
年代不詳
林 孫之進祐貞作
平成13年 後藤秀美
鯉復元
備考 どんな魚も昇れないという黄河上流の龍門山の滝を上ることができる魚は、ただちに昇天して龍になるという故事に因む。登竜門という語もここからでた。
人形は、宝暦12年(1762)工人檜物師庄兵衛の在銘があるわが国最古のもので、龍門の滝を鯉が躍り上がる鯉のからくり。
神功皇后が戦勝を占って、まっすぐの針で鮎を釣ったされる故事に因む題材。
所望は、神功皇后が岩に弓で字を書く所作をすると、次々と文字が現れる。
このとき、神功皇后は当時懐妊していたが、戦のあと、九州で応神天皇を無事出産したことから、"安産の山"として信仰されている。
謡曲の喜多流の月宮殿(鶴亀)に因むストーリー。
所望は、唐の皇帝が不老門に立って、美しく立派な前庭で春を祝う会を催し、世を寿いた。頭上に鶴と亀の冠りをつけた男女の舞人が皇帝の前で舞う場面。
源氏物語:大津祭
からくり名 源氏物語
祭名・屋台名 大津祭:源氏山
(中京町)
作 者 享保3年(1718)
林 孫之進作
備考 紫式部が石山寺で源氏物語を書いたという故事に因んだ題材で、所望は、石山をかたどった岩の中から、潮汲み馬、御所車、かさ持ち、木履持ちなどが現れては消える。回り舞台の原型といわれている。
高岡・御車山祭
 7台の御車山の6台にその中央に本座といわれる大きな人形が載るがこれはからくり機能はない。その内3台の本座の前の最前端に相座と呼ばれるからくり人形が載る。
太鼓を叩く唐子:高岡・御車山祭 太鼓を叩く猿:高岡・御車山祭 どんでん返しをする唐子:高岡・御車山祭
からくり名 太鼓を打つ唐子 太鼓を叩く猿 唐子の綾遊び
(5人の唐子がどんでん返しする)
祭名・屋台名 木舟町 小馬出町 通 町
作 者 宝暦年間(1751〜1763)の辻丹甫作 文化元年(1804)黒川發右衛門作 州王と左右を含む3体は、名工・辻丹甫作
伏木曳山祭・けんか山
 伏木曳山祭の曳山は七福神に因み、曳山上山の中央に福神と呼ばれる人形が載り、その前の最前面に前人形と呼ばれるからくり人形が載る。これらの人形は愛嬌のある唐子で、派手なからくりは演技はしないが、人形の後ろから糸などを使わず直接操られて獅子頭などを持った手や頭を動かす。
 また、これらの人形は、昼の花山車の巡行を終わると唐子の衣装を脱ぎ捨てかっちゃ用の勇ましい鉢巻き・半纏に股引に衣替えし、かっちゃを煽る。
唐子:伏木曳山祭・けんか山 唐子:伏木曳山祭・けんか山 和子三番叟:伏木曳山祭・けんか山
からくり名 唐子 (操り人形) 唐子 (操り人形) 和子三番叟 (操り人形)
祭名・屋台名 中町/ひょうたん山車 寶路町(ほろまち)/せんまい山車 本町/がんがら山車
備 考 明治3年(1870) 作。
裏絵は、かっちゃに備え戦闘服に着替えた人形。
明治17年(1884) 作 昭和54年 作。
裏絵は、かっちゃに備え戦闘服に着替えた人形。
唐子:伏木曳山祭・けんか山 唐子:伏木曳山祭・けんか山 唐子:伏木曳山祭・けんか山
からくり名 唐子 (操り人形) 唐子 (操り人形)
唐子 (操り人形)
祭名・屋台名 上町/ささ山車 湊町/ちょうちょう山車 石坂町/字山車
備 考 天保元年(1831) 作。
裏絵は、かっちゃに備え戦闘服着替えた人形。
明治34年(1901) 作
修復:昭和52年
根津神社大祭
神田祭
根津神社:猿田彦の人形 神田祭:松枝町:羽衣の山車
からくり名 猿田彦 からくり名 羽 衣
祭名・屋台名 根津神社 祭名・屋台名 神田祭:松枝町:羽衣の山車
備 考 2006年の御遷座300年を記念して70年ぶりに修理された山車は、3段の高欄の3層で3層目になり、神社にゆかりがあるという猿田彦の人形が載る。
人形はからくりになっており、全体と頭をそれぞれ左右に、杖籏を上下に動かすことができ、巡行中に“ウォ〜”と声をかけながら、群衆の方へ向け、杖籏を上下する。
操作は、地上で紐で行う。
備 考 昭和13年に作られた山車に載る羽衣の人形が上下・回転する。
日立風流物
伊那の綱火
日立風流物 伊那の網火
からくり名 風流源平盛衰記
風流仮名手本忠臣蔵
龍虎相撃つ川中島など
4台の風流物
(表館)
からくり名 高岡流綱火
松下流綱火
祭名・屋台名 神峰神社大祭禮 祭名・屋台名 伊那の綱火
備 考 昔は宮田風流物といった。からくり人形は、氏子たちが当時流行っていた人形浄瑠璃の影響を受けて作ったとされている。
東・北・本・西町の4町が7年毎の大祭禮に出るほか、毎年行われる日立さくらまつりに交代で1台が出る。
 からくりは、山車の前の「表館」とうしろの「裏山」で行われる。
〔詳細:屋台祭→茨城→神峰神社大祭禮〕
備 考 人形に花火を仕掛けて、綱渡りをしながら人形を操る。
茨城県伊奈町高岡(高岡流)・小張(松下流)の他に常総市大塚戸で行われる。

〔詳細:伝統行事・民俗芸能→伊那の綱火〕
其の一 其の二
   
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