山車の鳥は、四瑞の一つに朱雀(注1)があるように、鶴、孔雀、鳩、鷹、鳳凰(注1)、にわとり、雀、雉、水鳥など種類・数ともに竜に続いて多い飾りである。鳥は、飾りの主役として、棟飾り、鬼板・懸魚、幕、木鼻などに使われ、また、桃太郎などの山車人形にちなむ脇役としても使われることもある。
注1)鳳凰(ほうおう):古来中国で尊ばれた四瑞の青龍・朱雀・白虎・玄武の朱雀を五行説で鳳凰と同一視するようになった。鳳は雄、凰は雌をいう。その姿は、前半身は麒麟、後半身は鹿、頸は蛇、尾は魚、背は亀、頷(あご)は燕、嘴(とさか)は鶏に似、羽には孔雀のような五色の紋がある五色絢爛。声は五音を発す。梧桐(ごとう、中国南部原産のアオギリの漢名)に住み、竹の実のみを食い、醴泉(味の良い泉の水)を飲む。聖徳の天子の兆として現れると伝え、雄を鳳、雌を凰という。
良政が行われているときに出現するという。
四瑞は、四神、四霊、四獣などともいい、麒麟・亀・竜・朱雀、麒麟・霊亀・応竜・鳳凰などとする資料もある。また、鳳凰は生命を司り、麒麟は空間を司り亀は時を司り、竜は自然を司るともいう。
鳳凰の棟飾り 多くの孔雀による鬼板・懸魚
屋根の前後に飾られる鳳凰の棟飾り。 雌雄などの大きな孔雀が白木の彫刻で鬼板・懸魚として飾られている。
桃太郎の山車人形にからみ、犬・猿と雉が題材の鬼板・懸魚 武内宿禰の山車人形にちなみ、満珠で満ちた潮に鳴き騒ぐ千鳥
江戸型山車の山車人形の桃太郎にちなんで、鬼板・懸魚は、雉・犬・猿が極彩色の彫刻で飾られている。
注1)桃太郎:昔話のひとつで、爺さん・婆さんが川に流れてきた桃を拾い、中から男の子が生まれ、桃太郎と名付けられた。成人して吉備団子を持ち、鬼ヶ島に鬼退治に出かけた途中で犬・猿・雉に吉備団子を与えて共に鬼を退治し、宝を持ち帰る物語。
室町時代にできた物語で、当時の世相を濃く反映した、忠孝勇武・勧善懲悪を謳っている。
儒教的な思想から犬・猿・雉は仁・智・勇の象徴だともいわれる。
また、物語の原型は、崇神天皇の頃、百済の王子だったという温羅(うら)・吉備冠者・吉備火車と呼ばれる鬼が吉備国・鬼の城に住み着いた。鬼は身体が大きく、赤髪で凶暴な性格で、住民を苦しめた。この鬼退治のために、朝廷は吉備津彦命を派遣した。吉備津彦命は、苦戦しながらも無事退治することができた。これが、温羅伝説といわれる桃太郎のお伽噺のもとになったといわれている。

注2)吉備津彦命・大吉備津彦命(きびつひこのみこと):第7代の天皇・孝霊天皇の子。古事記や日本書紀で、第7代孝霊天皇〜第10代崇神天皇の時代に登場するため、西暦前200年〜29年頃に実在した、吉備地方の支配者ともいわれている。吉備津彦命・大吉備津彦命は、岡山市一宮にある元国幣小社の吉備津神社の祭神。
山車人形の武内宿禰にちなんで、緑の羅紗地に宿禰の投げた満珠により潮が満ちてきて千鳥が鳴き騒ぐデザインの胴幕。
注)満珠(まんじゅ):武内宿禰の山車人形は、潮満珠を海へ投げようとする場面が多い。
潮満珠は、潮干珠とともに、兄火照命を懲らしめるため、綿津見の神が弟火遠理命に授けた二つの玉。
潮満珠・潮盈珠(しおみつのたま、しおみつたま)は、海水につければ水を満ちさせる呪力があるという珠。
潮干珠・潮乾珠(しおひのたま、しおひたま)は、海水につければ水を引かせる呪力があるという珠。
鶴が乱舞する水引幕 鶴を世話したり、ニワトリと遊ぶ唐子
乱舞する鶴を刺繍した水引幕。 唐子が雄雌の鶴の世話をし、鶏と遊ぶ白木の彫刻。
豪華な刺繍の孔雀の追幕 迫力の鷹の追幕 総金箔の「黄金の鳳凰」と呼ばれる巨大な鳳凰の飾り
孔雀・鷹・鷲など多くの鳥が描かれているはんだ山車まつりの山車の追幕。 江戸型山車の囃子座の欄間仕立ての上部に大きく羽を広げた総金箔の「黄金の鳳凰」が載る、安房国司祭・やわたんまちの六軒町の山車。
正に鳳凰の典型のデザインの幕 鳳凰の木鼻 雉の彫刻
正に鳳凰の姿そのままに描かれた犬山祭の山車の中山(中段)の幕。 彫刻の鳳凰の木鼻。 彫刻屋台といわれる鹿沼ぶっつけ秋まつりの屋台の窓の柱の豪華な雉の彫刻。
花園で遊ぶ鳥など 珍しい色合いの牡丹と鶯
花園に鳳凰が飛び、犬(左絵の右下)や象(左絵の右下、大きさが小さく獏かも)が遊ぶ構図の大津祭の山車の胴懸け(幕)。
珍しい色合いの牡丹に鶯の彫刻。
注)牡丹:中国原産で、中国の国花。新年を祝う花。
日本へは奈良時代に渡来。弘法大師が持ち帰ったとの説もある。
種類は、花王、白王獅子、 大極殿、烏羽玉などがある。
東京近郊の名所は、西新井大師、箭弓稲荷神社(東松山市)、鶴岡八幡宮、上野東照宮などがある。
竹藪で遊ぶ鶏の雌雄。
十二支でいう「酉」は鶏をいう。そもそも、「酉」は、酒を注ぐ器を表した象形文字で、「酉」と鶏とは何の関係もないが、「酉」の古い字形が鳥の古い字形に似ていたことから「とり」に「酉」を当て、十二支の場合にのみ「とり」とよむ。
宙を飛ぶ燕は珍しい。
屋台の猩々
    
Page Last Updated 2006.6.18
Page Last Updated 2005.12.15
inserted by FC2 system